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自由主義の価値観を旗手に、
巨大経済圏・安全保障の構築を急げ!

2020/12/20 橋本 秀行

 

先月の記事の中で筆者は、2020年11月15日に、インドを除く15カ国間で署名された地域的な包括経済連携(以下、RCEP)のメリット部分を、ベトナムの今後の内需ポテンシャルを通して記した。しかし、本記事では、RCEPのデメリット部分(不安要素)に関して、対中国を通して3点(①貿易②知的財産権③安全保障)に絞って綴って行きたい。

 

まず、貿易面から見ていきたい。日本経済新聞WEB版によると、「RCEP参加15カ国の世界全体GDPに占める割合は約3割(約26兆ドル)、世界全体の人口に占める割合は約29.8%(約22.6億人)。また、日本の貿易総額(輸出+輸入)の約8割がRCEPにより、カバーされる事になった。」

 

しかしながら、我が国と中国のASEAN諸国における貿易総額を比較して見ると、楽観視出来ない点が見受けられる。特に、ASEAN10カ国(総人口約6.6億人)の中で、人口TOP3であるインドネシア(約2.7億人)、フィリピン(約1.08億人)、ベトナム(約9,600万人)における我が国の貿易総額比率が、年々低下している事実は見逃せない。

 

実際、IMFのDirection of Trade Statistics(貿易統計)の数値を参考に、筆者の方で、2010年(以下10年)と2019年(以下19年)の当該3カ国の貿易総額に占める、日本と中国の貿易総額比率を以下のように比較してみた。(中国の場合、香港からの輸出総額は含めない。)

①インドネシア:日本14.6% vs.中国12.3%(10年)、日本9.3%↓vs.中国21.3%↑(19年)
②フィリピン:日本13.7%vs.中国9.7%(10年)、日本9.5%↓vs.中国26.9%↑(19年)
③ベトナム:日本11.0%vs.中国18%(10年)、日本7.9%↓vs.中国23.2%↑(19年)

 

上記数値からも、RCEPが終結されたからといって、我が国の貿易総額が、上記3カ国で上がるとは言い切れない。再度、我が国のサービス貿易を含めた貿易ポートフォリオを精査した上で、我が国の貿易総額を伸ばしていく施策が求められる。

 

次に、知的財産権について見ていきたい。特許庁によると、RCEPの条約の中にも、知的財産の保護強化は謳われており、(1)商標権保護の強化(2)商標・意匠の保護対象(3)インターネット公知情報の先行技術・先行意匠としての認識について明文化されている。また、外務省主導で執筆された「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定に関するファクトシート」の中でも、知的財産権に関して侵害行為が生じた場合の損害賠償に関する条文が明文化されている。

 

しかし、JETRO「特許庁委託事業:中国の知的財産権侵害判例・事例集」https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/cn/ip/pdf/han_2019.pdfにざっと目を通しても、各事例(特許権、商標権、著作権、不正競争)に対して、中国が今後も条約を遵守するのかは不透明である。実際、無印良品を中国でも展開している良品計画が、一部商品の商標権を巡る訴訟に敗訴した事は記憶に新しい。唯、中国だけではなく、今後、RCEP領域内でのビジネス展開を検討している日系企業は、上記事例を参考にしながらも、あらゆる法律に準じたリスク管理がより一層求められるだろう。

 

最後に、安全保障を見ていきたい。今回、RCEPを批准しなかったインドとは、2008年以降、日印の防衛協力・交流を年々深化していき、「2014年9月には日印防衛協力および交流の覚書が調印された。」その後も、「演習・訓練などを通じた軍種間の交流も盛んになっており、2019年10月から11月にかけて、インド陸軍との実動訓練「ダルマ・ガーディアン19」を、同年10月にはインド空軍との共同訓練「シンユウ・マイトゥリ19」を実施した。」

 

インドが今回、RCEPを批准しなかった理由の1つに、対中国に対する更なる貿易赤字を嫌った面は否めない。実際、インド全体の貿易赤字に占める中国の割合は約3割に相当し、すでに打撃を受けている農業保護を打ち出す政治姿勢や、「当面はRCEPより米国との貿易協定を先行したいとする思惑が窺える。」

 

また、インドは、米国と今年10月下旬に、「地理空間協力(Geospatial Cooperation)のための基本的な交換協力協定(BECA)」(注1)に署名し、軍事面での強化も図っている。加えて、インド、アメリカ両国は、対中国を念頭に、我が国と「オーストラリアも交えて「マラバール」海軍共同演習などの共同演習を定期的に行っていきながら関係を強化し、「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP:Free and Open Indo-Pacific)構想/戦略の下に、日米豪印4か国による安全保障連携枠組み(クアッド)構築に注力している。」

 

但し、今回のRCEPには、インド、アメリカ両国が現状参加しておらず、我が国とオーストラリアだけで、中国に相対していけるのかは、現段階では疑問を持たざるを得ない。したがって、我が国自身で防衛力を高めていく事は当然ながら、インド、アメリカ両国を上手く巻き込む形の枠組みを、我が国主導で構築していくべきと考える。

 

 

 

出典 : Nikkei Asia、Opinion記事、2020/12/02

https://asia.nikkei.com/Opinion/The-Nikkei-View/China-s-TPP-ambition-should-be-viewed-with-caution (一部参照)

 

  1. この協定に基づき、インドと米国は、高度な衛星や地図、航海および航空チャート、測地、地球物理学、地磁気、重力データなどの地形データを含む軍事情報を共有することができる。

 

【参考URL】

1.日本経済新聞WEB版「「メガFTA」RCEP、日本が旗振り役に 世界GDPの3割」

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFZ275960X21C20A1000000?unlock=1

2.IMF「Direction of Trade Statistics(DOTS)」

https://data.imf.org/?sk=9d6028d4-f14a-464c-a2f2-59b2cd424b85&sId=1515619375491

3.特許庁「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定における産業財産権分野の概要」

https://www.jpo.go.jp/news/kokusai/epa/rcep.html

4.外務省 「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定に関するファクトシート」

https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100115475.pdf

5.JETRO「特許庁委託事業:中国の知的財産権侵害判例・事例集」

https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/cn/ip/pdf/han_2019.pdf

6.日本経済新聞WEB版「良品計画、中国で「無印」巡る商標訴訟で敗訴」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53350990T11C19A2TJ2000

7.世界経済評論IMPACT「RCEPよりも米国とのFTAを優先するインド」

http://www.world-economic-review.jp/impact/article1566.html

8.JBpress 「進化した日米豪印(クアッド)の中国包囲網」

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/63022?page=3

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