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2020.12.23

中国がオーストラリアに突きつけた14項目を (1)

2020/12/23 池田みえこ

 

2020年11月19日中国外交部の趙立堅報道官は、ロイター通信などの記者の質問に応えた。「あなたが言っているのは『ファイブアイズ』のことですね。中国人は今までトラブルを起こすこともなく、物事を恐れることもなかった。眼が5個だろうと10個であろうと、中国の主権、安全、発展の利益を侵害しようとするなら、その目がつぶれないように気を付けることだ。」など、世界に向けて流言飛語した。

https://www.fmprc.gov.cn/web/fyrbt_673021/t1833745.shtml

 

 

同じ頃、駐豪中国大使館から豪メディア3社宛にオーストラリアに対する不満を14項目列挙した文書が公開された。「中国は怒っている。中国を敵として扱うなら、中国は敵になるだろう。」と始まる文書は以下である。

 

(1)2018年以降、10件以上の中国の投資プロジェクトが、あいまいで根拠のない「国家安全保障上の懸念」を理由に、豪州政府によって拒否され、インフラ、農業、畜産などの分野に制限を課している。

(2)国家安全保障上の懸念という不透明な理由で、ファーウェイとZTEを5 Gネットワークから締め出し、他国にロビー活動を行って米国のいいなりになっている。

(3)外国干渉防止法は、中国を標的とみなしているが、根拠に欠ける。

(4)中豪間の通常の交流と協力を政治化し,中国の学者に対するビザの取り消しを含め、障壁を作り、制限を課している。

(5)コロナウイルスに対する国際的な独立した調査の呼びかけは、米国の対中攻撃に呼応する政治的操作だった。

(6)中国の新疆ウイグル自治区や香港、台湾問題への絶え間ない理不尽な干渉、特定の多国間会議で対中弾圧の先導者となっている。

(7)南シナ海問題に関する国連への声明を発表した最初の非沿岸国である事。

(8)米国の反中キャンペーンに加担し、コロナを封じ込めようとする中国の周囲で、米国から伝えられた故意の誤報を広めている。

(9)中国を標的にした最新の立法により、外国政府との合意を精査するようにし、「一帯一路」における豪ビクトリア州の参加を破棄することを狙ったものだ。

(10)反中シンクタンクに資金を提供し、虚偽の報道を広めたり、新疆ウイグル自治区周辺の嘘をばらまき、対中世論操作を目的とした、いわゆる 「中国による浸食」 を図った。

(11)夜明けの家宅捜索と、いかなる罪状もいかなる説明もなしに、中国人ジャーナリストの家や財産を無謀に押収すること。

(12)サイバー攻撃に関する中国への薄っぺらな疑惑で、根拠をともなわない。

(13)国会議員による中国の政権与党に対する不当な非難と、中国人やアジア人に対する人種差別的な攻撃。

(14)豪メディアによる中国に関する非友好的または敵対的な報道で、二国間関係の雰囲気を悪化させている。

 

https://www.smh.com.au/world/asia/if-you-make-china-the-enemy-china-will-be-the-enemy-beijing-s-fresh-threat-to-australia-20201118-p56fqs.html

 

https://news.yahoo.co.jp/byline/nishiokashoji/20201127-00209775/

 

これらは中国によるサイレントインベージョン対策として、オーストラリア政府が行った結果であり、それを不愉快に感じた中国の本音でもある。ゆえにオーストラリア政府の対中戦略の実績でもあって、大変見事だ。

すなわちこれぐらいの反応が中国から得られるように、日本もしっかりと対中戦略を立てて行動しなければならない。これを基本にして、対中政策14項目考えると以下になる。

 

1)「国家安全保障上の懸念」を理由に外国投資を阻止する。インフラ、農業、畜産などの分野で制限をかける。

2)「国家安全保障上の懸念」を理由に、華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の中国通信機器大手2社を、次世代通信規格「5G」ネットワークから締め出す。

3)「外国干渉法」を成立させる。

4)中国人学者のビザ取り消しを含めて制限を課す。

5)新型コロナウイルスに関する国際的な独立調査の呼びかける。

6)中国の新疆・香港・台湾問題への絶え間ない干渉と、特定の多国間会議で対中弾圧を呼びかける。

7)南シナ海問題に関する国連提出用の声明を、オーストラリアに継いで提出する。

8)米国の反中キャンペーンに加担し、より正確な情報を広める。

9) 「外国干渉法」により外国政府との合意を精査し、中国の野望である「一帯一路」構想を阻止する。

10)日本政府系シンクタンクによる中国に対する世論操作を図る。

11)中国人ジャーナリストに対する警戒と監視を強化する。

12)中国からのサイバー攻撃を警戒し監視する。

13)国会議員によって中国共産党政権に対する非難を行う。

14)日本メディアによって、中国に対する非友好的・敵対的な報道を助長する。

 

 

現在、国際社会の表舞台で、中国によるオーストラリアいじめが目に余る。日本はこれを見て見ぬふりをするというのか。同じような環境に置かれている国家同士が、今こそ連携しながら対中政策を行わなかればならないのではないだろうか。

 

特に今回の中国王毅外相に対する日本の茂木外相のような態度は、2度と国際社会に曝してはならない。それには国民一人ひとりにおける現状把握と、確固とした強い認識と意志から始まるだろう。そうしてこそ「曖昧な日本」「NOが言えない日本」を打破することになるに違いない。将来を担う子どもたちのためにも、今の私たちができることを一歩一歩確認し、行動していきたい。

 

 

フリー画像

https://www.photo-ac.com/main/detail/2032811?title=%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%9C%B0%E5%9B%B3&searchId=205454428

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