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2024.02.02

児童相談所の真実|岡川たいき

世田谷区議会議員の岡川大記です。
皆さん、児童相談所の運営状況や問題点についてご存じでしょうか?
 
そもそも、児童相談所の始まりは戦後の戦争孤児や浮浪児の保護から始まりました。戦争孤児たちを保護するために児童福祉法が制定され、児童相談所は「児童を一時保護し、児童養護施設に送り込む」という福祉と権力の二面性を持つ特異な行政機関として作られました。
 
当ブログでは、そんな児童相談所について現状を紹介し、当事者の実体験や、人と世界の本質的なあり方から問題点をあぶりだし、理想的な運営の方法や保護や支援のあり方について考察を深めてまいります。
 
児童相談所の現状認識について
児童虐待防止法を平成12年に制定したことを背景に、児童相談所の相談件数は平成2年度の1101件から比べると現在の219,170件は約200倍、平成12年の17,725件と比べても約8倍に伸び続けています。
 
相談件数が増えた背景には、児童相談所直通の10桁の電話番号だけでなく、3桁の「189」で通報できるようになり通報しやすくなったことや、テレビCMや街頭ポスターで周知し、虐待の認知度を上げる方針を取ったことなどが挙げられます。
 
児童相談所における虐待相談対応件数とその推移
児童相談所の真実|岡川たいき(出所)『令和4年度児童虐待相談対応件数』厚労省 2頁
 
次に下表を見ると、ほとんどの項目において平成に入り減少していますが、虐待(太線)だけが右肩上がりに上昇しています。急激な上昇の理由が、親の人格の変化だけとは考えにくいので、虐待の基準が変わるような根本的な変更があったのではないかと推測できます。
児童相談所の真実|岡川たいき(出所)『①社会的養護の現状について』平成26年3月版 3頁
 
また、メディアで見るような凄惨な虐待死を含む虐待による死亡数は下表を見るとわかるように、決して少なくはありませんが、50名前後で変わらず推移しております。
児童相談所の真実|岡川たいき児童相談所の真実|岡川たいき(出所)Webページ:https://www.orangeribbon.jp/about/child/data.php
 
上記の現状認識をまとめると、

①相談件数は激増しているが、虐待認定件数が増えているかは不明。(相談件数は虐待が認められた件数ではないため)

②措置理由を見ると虐待だけが増加している。。

③明確な虐待といえる死亡事例は、ずっと50名程度と横ばいであり、相談件数の伸びとともに上昇していない。

 

当事者の実体験について
(本人が特定されないように期間や固有名詞は伏せ、一時保護の起因についても本人が特定されますので、簡易化させて頂きます。)
実際に中学生から高校生の約3年間を児童相談所の一時保護から一保護委託施設で過ごした方の実体験を伺がわせて頂きましたので、簡単にご紹介いたします。
 

①一時保護児童であるAさん(以後Aさんと記載する)は学校でいじめを受けていたストレスにより弟に暴行を振るうことがありました。弟への暴力を止めるために父親がAさんを羽交い絞めにして止めることあり、それが主な起因となり、虐待が行われているとされ、児童相談所による一時保護が行われました。

②父親は虐待とは認めず、子供も虐待はされておらず早く家に帰りたいと言い続けました。

③一時保護は、3回延長され、合計半年間児童相談所の一時保護施設に保護されました。その間、学校に行くことは禁じられ、保護施設ではずっと自習をさせられ、義務教育を受ける機会を奪われてしまったとのことでした。

④一時保護では、6畳~8畳の部屋に、6人の子供が収容され、個人のスペースは1畳だけだということです。外部との連絡はすべて禁止されていました。

⑤一時保護では、男女で話すことを禁じられており、報告しないとトイレにも行けず、そのほかにも決められたルールを破ると連帯責任で、3日間カーテンで区切られた一人席に座らされ、誰との交流も許されなくなるということです。期間中に、ルールを守らなければさらに日数が伸びるということでした。

⑥中学から高校に進学する際にも、親に相談することを禁じ、志望する高校の受験もさせてくれなかったとのことです。

⑦コロナワクチン、インフルエンザワクチンについて、家族では不要であると考えており、本人も打ちたくないと言っていたのに、「親も兄弟も全員接種してAさんにも接種してほしいと家族も思っている。」と、児童相談所の職員に言われ、嫌々接種したとのことです。親や兄弟は実際には接種していませんでした。

⑧児童相談所の相談員が変わった際に、保護する理由がないと考え、Aさんは家族と接見することが出来、その後一時保護委託施設から一時帰宅が許されたとのことです。再度児童相談所の相談員が迎えに行ったところ施設には帰りたくないと伝えたことで、一時保護が終了されたということです。

 
すべての児相や施設で上記のようなことが行われているかはわかりませんが、実際に当事者の方からお話を伺うと、今まで情報収集していたことが大げさに言われていないことがよくわかりました。
 
さらに、なぜかわかりませんが、子供は虐待から「保護」されたにも関わらず、囚人よりもひどい扱いを受けており、児童相談所内や児童福祉施設内での子供の各種権利を守ることは喫緊の課題であると強く感じました。
 
今回お話を伺わせて頂きました父親とAさんはとても仲が良く、強い絆で結ばれており、長い間離れていたとは思えないぐらい素晴らしい関係性を築かれておられました。今回の件でいうと、たとえ体罰だと児童相談所が判断したにしても、3年近く引き離す必要が本当にあったのかどうか、疑問が残りましたし、システム的な不具合が散見されているように思いました。
 
人と世界のあり方から本質に迫る
① 本能
人には、「痛みを避け、快楽を求める本能」があります。本能は欲求として自覚され、欲求を満たすために行動し、その結果として感情が表出します。
 
一方で、人間には理性があるので、社会的に迷惑を掛けるような特殊な欲求が生じたとしても、理性を働かせ欲求を抑えることが出来ます。しかし、理性が働かなくなったら、破壊的なことであっても欲求に従って行動します。
 
ですので、理性が働かなくなるような逃げ場のない場所や絶望させるような状況、もしくは権力を一極集中させたシステムや監視の行き届かないシステムなどを作ってはいけません。
 
例えば、児童相談所は一時保護する権限を持っていますが、その行為の是非を問いうる監察機関はありません。権力者に権力が集中すると、理性を失いやすくなり、均衡を保つためにも権力は分散させる必要があります。
 
我が国ならではの実例として、日本は、天皇が権威となり、政府が権力者となり、国民が非権力者という3つの組織による統治方法により世界で一番皇位が続く国になりました。
 
このように、3つの組織を癒着させずに独立的に機能させることが公平性の担保のためにも特に重要です。
 
② 資本主義社会(金銭欲)
日本は資本主義社会なので、金銭欲も大きな要因になっています。自身の現在と未来の食い扶持を確保することや、組織の予算を確保することは当然重要視され、そのためには、組織的にグレーゾーンに踏み込むだけでなく、さらにブラックゾーンに踏み込んでいくようなお金を違法に求める事件はメディアでも日々放送されています。
 
③ 言葉と事実の世界
最後に、私たちが生きる言葉の世界では、「嘘」が内包されていることや、「認知」によって解釈が変わるなどの特徴であります。ただ一つの事実はない考え、多様な視点に立って、それぞれの解釈をくみ取れる人だけが、感情が絡まりあう難しい判断が出来ます。
 
以上、重要な概念をまとめると、

・破壊的な欲求が暴走しないように、理性を保つシステムが必要

・お金が絡むと全体の利益を守るという理性が働きにくくなるという視点が必要

・真実は一つではないので、多様な視点で認知し解釈することが必要

・嘘を見抜く客観性を持つことが必要

 
児童相談所の一時保護については、子供の命と親の想いという非常に感情が揺さぶられやすい状況になることから、上記のような客観的な視点を持つことがとても重要です。
 
ほかにもあるいろいろな問題点
① 虐待の基準
躾と体罰と虐待の区分けが明確でなく、虐待の基準が明確ではありません。
 
家庭で平手打ちをすると、虐待として通報されますが、スポーツ家族に密着する番組で、子供が体罰として平手打ちを受けても虐待としては扱われず、ダブルスタンダードになっています。
 
ほかにも、心理的虐待やネグレクトについては基準がさらにあいまいになり、真意は別にあるかもしれませんし、全国の児童相談所で同じ基準ではないと思いますが、下記のように一般的な生活をしているだけで虐待扱いになることがあるようです。
 
例えば、

・母乳で育てると栄養失調になるから虐待である。

・ワクチンを打たせないのは医療ネグレクトである。

・空手を習わせるのは、怪我をしやすい行為なので虐待にあたる。

・「お風呂に入れ」「宿題をしなさい」「冷めてしまうから、早くご飯を食べなさい」と言うことなどは心理的圧力が掛かるため虐待にあたる。

 
② 施設の保護単価による運営方法
施設の運営方法として保護単価を設定し、予算組みは前年度実績を踏襲した変動制で運営しています。次年度の予算を確保するために保護実績が必要になると、虐待を減らすためではなく、実績を上げるための活動になり、目的が変わりかねません。
 
③ 施設内の虐待
児童相談所内で虐待が横行していると保護された児童からも伺いますし、ニュースなどでも散見されます。
 
④ ベテラン相談員の減少
現状の児童相談所は、ベテランの児童福祉司が減少傾向にあり、3年未満の経験者が約半数まで増え、的確な判断が出来ているのか不安を感じるところです。
 
最後に
児童相談所は相談件数が増え続けていることで日々の業務に忙殺されておられると思います。
 
今後、単純に人員を増やすよりも、まずはシステム面で、運営体制の見直し、透明性の担保、権力の均衡などを考え、無駄な業務を削減し、一定の予算を確保したうえで、本当に一時保護が必要な子供に保護の手が差し伸べられるようにすることが、喫緊の課題ではないでしょうか。
 
また引き離すことを第一にするのではなく、親子の縁を育んでいくようなサポートに尽力して頂きたいと強く感じました。
 
行政の活動によって、苦しんでいるご家庭があるとしたら行政のあり方として本末転倒です。
 
次世代に素晴らしい日本を繋ぐためにも、すべての子供の権利を守り、幸せな子供が増えてほしい、不幸せに感じる子供を少しでも減らしたいという想いをもって、参政党はタブーに切り込み、構造的な視点で問題提起してまいります。
 

岡川 たいき
Okagawa Taiki
児童相談所の真実|岡川たいき
所属議会
世田谷区議会議員(東京都)
 
経歴
京都産業大学経済学部 卒業
株式会社TIPPING POINT 経営
 
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