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TRANSLATED ARTICLES | 海外翻訳記事

インドにおけるコロナ事情

2021/04/26 小林充明

『インドが直面しているのは、人災である』

「インド人の命を奪っているのはCovid-19ではありません。グローバルに己の運命を自ら切り開く新興のスーパーパワーとしてのインド神話は崩壊してしまいました。」に始まるコラム記事から、今回はインドにおけるコロナ事情を垣間見ていくこととする。

 

ジャーナリストであり、SPJIMR(医療の専門学校)の教員である執筆者(ジャグディシュ・ラッタナーニ氏)は、インドにおけるコロナ対策がこれまでインドにあった医療制度[1]を崩壊に導いたと述べている。その背景には科学的知見を軽視し、医療制度を改革することに後ろ向きだからだという糾弾が存在する。

 

「近年、政府高官はインドのことを宇宙大国、知識大国、経済大国、製造大国、さらにはワクチン大国などと様々に表現してきた。だが、私たちは、人々を集めて空の器を叩き、ランプを灯し、何百人もの人々をクンブ・メラ(聖地巡礼)に向けて信仰心を持って行進させることはできるが、パンデミックが発生したときに病院のベッドを手配することすらできない」と述べている。このクンブ・メラを中止するために多くの時間を要したことは科学的アプローチが、信念、信仰、儀式などの犠牲になっている証左と言える。

 

一方で、ワクチンに関連する対応の不味さとして、執筆者は以下の二つの事柄を挙げている。すなわち、新型コロナ治療薬・レムデシビルがブラックマーケット化したこと。BJP(与党インド人民党)がムンバイの民間会社でワクチンを調達しようとしたため、製造会社の取締役2名が逮捕される事件が起きたようだ。そしてワクチンの流通は、インドの中央政府と非BJP支配州との間で争いの元となり、マハラシュトラ州では、ワクチン不足という事実からいくつかの予防接種センターが閉鎖された。しかし、こうした事態は、政府や行政が目の前の問題を解決せずに、『トランプ大統領のツイッター戦争のような卑しさ(lowness)』の行動をしているのであり「ニューデリーは相変わらずツイートは早いが、信頼を築くのが非常に下手だ」と述べている。

 

「合意された方式を用いて透明性のあるワクチンの配布を行い、各州がどれくらいの量が来るのか、いつ在庫がなくなるのかを把握し、展開を計画できるようにすること」といった、シンプルで賢明な解決策を元首相のモンハン・シンは提案している。こうした考えは、現インド政府が進める医療のデジタル化政策[2]にも合致するものである。

 

病院に行かずに診療や処方箋の受領、代金支払いなどができる遠隔医療サービスによって、とくに農村部などの先端技術を持つ病院がない地域の人でも、安心して迅速に医療サービスを受けられる。遠隔医療大手Practo社は、同社のオンライン診療アプリに、昨年5月時点で5,000万人(直近3カ月間)がアクセスし、利用者の80%がオンライン診療(44%は都市部以外の地域から)を初めて受けたという(3月比6倍)。またコロナ対策として、「アローギャ・セツ(Aarogya Setu)」というアプリを用いて、インド全国や各州の感染者数などの統計へのアクセス、政府の通知やワクチン接種の予約などを可能とさせている[3]。

 

執筆者は「ワクチンメーカーへの事前発注や強制的なライセンス供与と相まって、全人口を迅速にカバーするための道筋をつけることができるはずだ」と述べる。今回のパンデミックの第2波では、ウィルスがもはや若者の命を助けないことが明らかになっており、多くの若者が呼吸困難で病院に運ばれている状況だ。

 

コロナウィルスの変異種が新しい波をもたらしたにもかかわらず、国の動きはあまりにも遅く、持続的、計画的、協調的なウイルスゲノム配列決定のための活動をすべき時点であるにもかかわらず、3月24日に保健省が「インドではVOC(懸念される変異体)と新しい二重変異体が発見されているが、これらは直接的な関係を確立するか、あるいは若干の州での患者の急増を説明するのに十分な数は検出されていない」という報告を出していた。

 

こういった政府の対応の遅れの背景にあるのは、例えば国の中枢に提言する国家疾病対策機関(National Centre for Disease Control)並びに、インド医療評議会(Indian Council of Medical Research)とその傘下の国立ウィルス研究所(National Institute of Virology)との間の歴史的なライバル関係の影響であり、「初期のシーケンシング(DNAを構成しているヌクレオチドの塩基配列の決定)を行ったものの、コンソーシアムの他の組織とデータを共有していない」といった告発がなされている。

 

コロナウィルスそれ自体は恐ろしい脅威であるが、こうした状態が終息に向かわない理由として「病気が平然と繁茂し、蔓延することを許している」インド人たちが長い間抱えてきた病気、即ち明日に生きるために刹那的な儀礼的行動を許し、過去の神話的な物語に生きることを切望している病なのではないのかと執筆者はまとめている。

 

最後に、コロナに関する神話、すなわち誤った通念[4]をいくつか挙げてみよう。

【誤った通念】

・ワクチンの試用が中止されたということは、候補薬に問題があることを意味する。

・Covid-19ワクチンはあなたにコロナを与えるだろう。ワクチンはあなたの免疫力に悪影響を与える可能性がある。免疫力の強い人は感染しえない。Covid-19に対する集団免疫があれば、ワクチン接種を受ける必要はない。

・新しいCovid-19ウィルスは高齢者にのみ影響し、若者には影響しない。

・予防接種を受けた後、マスクの着用や社会的距離のガイドラインに従う必要はない。

・ワクチンはCovid-19ウィルスの終焉への答えである、温度、湿度がCovid-19の感染率に影響を与える可能性がある。

・マスクを着用するとCovid-19の感染を防ぐことができる、お風呂に入ると感染を防ぐことができる、中国からの小包でCovid-19が広まる可能性がある。

・飲酒はCovid-19を治すことができる、非菜食主義の食品(肉)の消費は感染につながる可能性がある、ニンニクは免疫システムを高める、コロナ感染者は10秒間息を止めることができないのでCovid-19のテストとして機能する。

・蚊に刺された場合、感染が早まることがある、ハンドドライヤー/紫外線消毒ランプはウィルスを殺すことができる、サーマルスキャナーは新しいCovid-19ウィルスを検出できる。

 

コロナ対策は、世界中で喫緊の課題ではあるが、どの国も有効な対策がなされているとはいいがたい。インドにおいても神頼みの部分があり、それが医療崩壊につながっている。しかしながら、コロナ対策以前に遠隔医療アプリを開発し、5000万人以上の利用者が利用したということは、診察アプリの導入に難色を示す医師会などの業界団体との攻防を横目に見ながら医療崩壊を食い止めようとしている我が国にとっては見習うべき方向性である。これはまさにデジタル・インディアを推し進めるモディ政権の力であり、インフラが整っていないインドだからこそ生まれたイノベーションである。そして持たざる国家組織の次善の医療改革への展開方法なのであろう。

(了)

 

出典

https://www.nationalheraldindia.com/india/what-india-is-facing-is-a-man-made-disaster

 

[1] 例えばこちらを参照。https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=58202?site=nli、またモディケアに関してはhttps://www.cnn.co.jp/world/35126062.htmlを参照。

[2] https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2020/349f2efd8d760d6f.html

[3] 『4,800万人超に迅速な新型コロナワクチン接種、IT活用がカギに』https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/03/0a0a06f992e7dd0f.html

[4] https://www.indiatoday.in/information/story/debunking-myths-related-to-covid-19-vaccines-1763959-2021-01-29https://www.indiatoday.in/coronavirus-outbreak/story/novel-coronavirus-outbreak-myths-about-covid-19-from-around-the-world-debunked-1660742-2020-03-28 を参照。

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