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バイデン政権が連邦法人税の増税を断念、野党・共和党に妥協した形に

2021/06/16 森雄飛

 

ロイター通信は6月3日、アメリカのバイデン大統領が大型インフラ投資計画を巡る野党・共和党との協議の中で連邦法人税増税案を撤回し、逆に現行の21%から15%に最低税率を引き下げることを提案したと報じました [1,2]。翌日6月4に、同様の内容をBloombergも報じています [3]。

 

当初、バイデン政権は計画中であるインフラ投資計画の資金を調達するため、連邦法人税を現行の21%から28~25%に増税することを共和党に提案していました [4]。そして、共和党はその増税案に反対していました [3]。したがって、今回のバイデン政権の方針転換は、共和党に妥協した形になります。

 

ところで、連邦法人税の現行税率21%は、共和党・トランプ政権の減税政策で達成されたものです [5,6]。トランプ政権が発足した2017年に、当時35%だった法人税率が21%に引き下げられました。つまり、今回の報道 [1-3] は、このトランプ政権で作られた減税の流れを、民主党のバイデン政権であっても止めるのが難しいことを示唆しています。

 

なぜアメリカでは減税の流れが止まらないのでしょうか?

 

それは、全米税制改革協議会(Americans for Tax Reform、ATR [7,8])という減税草の根団体の存在が大きいと言えます。ATRは、トランプ政権を支えていた共和党保守派系の国民団体の一つです。現在のホワイトハウスには共和党ではなく民主党が入っていますが、ATRのアメリカ政治への影響力は今もなお健在であることが伺い知れます。

 

このように、アメリカではたとえ政権交代が起こっても、減税が推進されて納税者の私有財産が守られる仕組みができています。これは、アメリカ国民が政治に積極的に参加しているからです。我々日本人が見習うべき点がありそうです。まずは「自分が支払った税金がどのように使われているか興味を持つ」ところからはじめてみてはいかがでしょうか?

 

「政治に参加」してみませんか?

 

参考文献

[1] ロイター, バイデン氏、増税案の撤回を提案 インフラ投資計画の合意目指し, https://jp.reuters.com/article/usa-biden-infrastrucure-tax-idJPKCN2DF1WN

[2] Reuters, Biden proposes 15% corporate minimum tax to win Republican backing of infrastructure plan, https://jp.reuters.com/article/us-usa-biden-infrastrucure-tax/biden-proposes-15-corporate-minimum-tax-to-win-republican-backing-of-infrastructure-plan-idUSKCN2DF1RK

[3] Bloomberg, Biden Floats 15% Minimum Corporate Tax in Talks With GOP, https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-06-03/biden-floats-15-minimum-corporate-tax-in-infrastructure-talks

[4] CNBC, Biden open to 25% corporate tax rate as part of an infrastructure bill compromise, https://www.cnbc.com/2021/05/06/biden-says-corporate-tax-rate-should-be-between-25percent-and-28percent.html

[5] 日本経済新聞, 米減税法案が議会通過 法人税21%、下院も再可決, https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24894440R21C17A2000000/

[6] NBC News, Trump signs tax cut bill, first big legislative win, https://www.nbcnews.com/politics/politics-news/trump-signs-tax-cut-bill-first-big-legislative-win-n832141

[7] Americans for Tax Reform, https://www.atr.org/

[8] SYNODO, トランプ大統領を支える共和党保守派の「今」を知る, https://synodos.jp/international/22529#google_vignette

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