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ドラマティック、韓国。

2021/09/23   池田みえこ

ドラマティック、韓国。

そもそも韓国の歴代大統領11人中9人の末路は逮捕や自殺で破壊に至る。それでも4年に一度には大統領選挙があり、その都度新しい大統領候補が現れる。日本人としては到底考えにくいことだが事実だ。次期大統領選挙は2022年3月、遂に半年後に迫ってきた。

数々の不祥事(?)により前大統領朴槿恵(パク・クネ)氏が弾劾された後、文在寅大統領が最側近のチョ・グク法相疑惑に沸いている頃に、篠原常一郎氏が月刊Hanada10月号で「文在寅に朝鮮労働党 秘密党員疑惑スクープ!」(1)を報じたことを通して、韓国全土の保守系が立ち上がり首都ソウルの中心街で大規模デモになった2019年秋のことは、現地でその一部始終を見ていた立場として記憶に新しい。(2) 一人の日本人が隣国の政権を揺さぶったことはとても衝撃的だった。

 

次期大統領選挙が半年後に迫った今月2日、韓国の全国民主労働組合総連盟(民主労総)の会長が大規模デモを主導した容疑で逮捕された。それでも民主労総は文政権に「闘争だけが選択肢」とし、10月20日に大規模ストライキを敢行する予定である。この労組は文政権誕生時デモの火付け役となり、前政権を退陣に追いやったまさにその団体だ。

「文在寅政権の宣戦布告、その弾圧には強力なストライキ闘争成功でお返しする。10月20日のストライキを韓国社会大転換の号令にし、文政権の暴挙への対抗とする。今まですべての政権は労働者の怒りを越えて、任期を良い結果として終えれなかったことを思い出せ。」(3)

この労組が今、次期大統領選挙を見据えて国を根底から揺るがそうとしている。

 

15日の中央日報では「文大統領が潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)潜水艦の発射試験を見学した後、『北朝鮮の挑発に対応可能な抑止力』と言及したことに対し、北朝鮮の金与正副部長が文大統領に『不適切な失言』と非難した。」

だが同紙は「韓国統一部は16日、金与正副部長が前日の談話で文在寅大統領の実名を出して非難したことについて、『いかなる場合でも、相手に対する礼儀と尊重は守るべきだ』と述べた。」(4)

と応酬を返しているのである。

このように内部や外部からの圧力に対し、この6か月間で韓国国内のみならず半島情勢はどう変化していくのだろうか。まるで一編のドラマが展開されていくようだ。

 

一方、全世界ではコロナ渦という映画のような事態が現実のものと化している。

この不安定で不確実な社会にあって、これら映画やドラマが現実の世界と置き換わったかと見間違えるかのような現実の中、いかに自分の「軸」という確固たる価値観を持つかが問われているようだ。そんなことを揺れる隣国を通して深く感じてしまうのは、筆者だけだろうか。

 

 

(1)https://www.iza.ne.jp/article/20190927-OTLC5U5QUVOC5FKXCU3WCNRJXM/

(2) https://note.com/kando_nuriko/n/nab409a4ae84c?magazine_key=mf0cf0690f515

(3) https://www.edaily.co.kr/news/read?newsId=03207846629176184&mediaCodeNo=257

(4) https://www.joongang.co.kr/article/25007790

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