TRANSLATED ARTICLES

2023.02.05

超加工食品とがんの関係:2022年8月のブリティッシュ・メディカル・ジャーナルより

超加工食品とがんの関係:2022年8月のブリティッシュ・メディカル・ジャーナルより

 

2023/02/05 藤野はるか

 

あなたが参政党に興味を持ったきっかけは何だろうか。私はYouTubeチャンネル「松田政策研究所」で現在の医療についての問題点を語っていた吉野敏明氏がきっかけだった。

 

大学時代は英語と経済安全保障を勉強し、社会に出てから10年以上国際金融資本の片隅で暮らしていた上に、20年前から持病のため通院もしていたため、金融、ビジネス、医療にはちょっとばかり詳しいと自負していた私の盲点を突くものがそこにはあった。日本人は戦後、西洋医学を盲信するように仕向けられていたのだ。その最たるものが日本人の死因ナンバーワンのがんだ。おそらく現代の日本人で、買って来たらすぐに食べられる「超加工食品(Ultra-processed foods)」ががんの原因になりうると思っている人はあまりいないだろう。がんという病気はとにかく早期発見、早期治療が大切で、そのために定期的に健康診断を受けるのがよい、うちはがん「家系」だからアフラックに入らなければ、というのが日本人の「常識」ではないだろうか。

 

吉野氏の言うように、日本では意図的に「超加工食品とがんの関係」が隠されているのだろうか。それを探るために、まずは英語で検索してみた。

 

そのニュースはすぐに見つかった。2022年9月1日のCNNニュース。タイトルは”Ultraprocessed foods linked to cancer and early death, studies find”(超加工食品のがんと早死との関連 複数の研究が明らかに)。アメリカのタフツ大学とイタリアの研究機関IRCCSがそれぞれ行ったアメリカ人とイタリア人を対象とした大規模調査により、超加工食品の多量摂取は著しく男性の大腸ガンのリスクを上昇させ、男女ともに心臓疾患と早死を引き起こす可能性があるという研究がブリティッシュ・メディカル・ジャーナルで発表されたというものだ。

 

Ultraprocessed foods linked to cancer and early death, studies find | CNN

 

この件を扱った英語の記事をGoogleで検索すると、Medical News Today(本社:英国)、NBC News(本社:米国、以下同じ)、Forbes、Prevention、Healthline Media、Sci Tech Dailyなど、20本以上の記事が見つかった。それに対して、このニュースを検索するために日本語で「超加工食品 大腸がん」と入力してみたが、保健指導リソースガイド、ケアネット、リンク・デ・ダイエットなど10本程度でいずれも知名度の低い媒体ばかりだった。大手では唯一毎日新聞も報じていたが、有料記事だった。驚くべきことにCNNは自社の日本語のサイトに、このニュースを日本語にしていない。(Forbesでは日本語翻訳記事が掲載されている。)

 

以下、CNNの英語記事の内容を紹介していこう。超加工食品の具体例としてパック入りスープ、ソース、冷凍ピザ、インスタント食品、ソーセージ、フレンチフライ、清涼飲料水、市販のクッキー、ケーキ、ドーナツ、アイスクリームなどが挙げられている。さらにがん以外に超加工食品がもたらす疾患として、肥満、心臓血管疾患、死亡率の上昇、その他慢性疾患が列挙されている。

 

今回の研究の詳細は以下のとおりである。

 

【米国での研究】28年間にわたって20万人以上の男女の食生活が調査された。米国の男性ではがんの中で3番目に多く診断される大腸がんと超加工食品との関連性が調べられた。それによると、男性の超加工食品摂取量の上位20%と下位20%を比較したところ、大腸がんのリスクは前者が29%高いことが分かった。これは被験者の肥満度や食事の質を考慮しても変わらないという。ちなみに女性の場合はこのような結果は得られないが、その理由は解明できていない。性ホルモンや代謝ホルモンの影響、加えて女性の特性としての健康志向が影響している可能性がある。たとえば女性は超加工食品の中でも「より健康な」もの、例えばヨーグルトや添加糖類がほとんど含まれていない全粒紛食品などを選ぶ傾向があるからではないか、という指摘をする学者もいる。アメリカでは成人は摂取カロリーのうち58%を超加工食品から得ており、その比率は子どもの場合67%となる。

 

【イタリアでの研究】ガン、心臓病、脳疾患の危険因子を調査する目的で、2005年から12年にわたり22,000人を対象とした調査で、イタリアのモリーゼ州で行われブリティッシュ・メディカル・ジャーナルに発表された。糖分や飽和脂肪酸が多く含まれる栄養価の乏しい食品や超加工食品の比較分析では、いずれの種類の食品も独立して心疾患に起因する早期死亡のリスクを高めることが分かっている。しかし、今回の調査では、死亡を引き起こすという点では、超加工食品の方が突出してリスクが高いことが突き止められた。実際、この調査で栄養学的に不健康なものとして分類される食品のうちの80%を超加工食品が占めている。

 

続いて、記事はなぜ超加工食品が身体に悪いのかを以下のように説明している。

「超加工食品が身体に悪い理由のひとつめは、これらは食品から抽出された材料や、研究室で化学的に合成されたものだからである。これらは大量の砂糖や塩が使われ、食物繊維に乏しく、人口着色料や安定剤といった化学添加物だらけである。一部、ほかのものよりも健康的だとされる超加工食品もあるが、研究者は、できれば超加工食品は一切取らないようにし、果物、野菜、豆類などの健康的な加工されていない食品を取るべきだとしている。」

 

それでは、この研究結果は政治にどのような影響を与え、または与えうるのだろうか。Sci Tech Dailyの記事には以下のような記述があった。

 

「この結果は世界規模で公衆衛生を改善するために、超加工食品を制限し、非加工または最低限の加工しかされていない食品を推奨する政策を後押しする科学的根拠を示している。」

 

Ultra-Processed Foods Linked With Heart Disease, Bowel Cancer and Death (scitechdaily.com)

 

参政党がしばしば街頭演説で主張する、食品添加物認可の国際比較=海外先進国では超加工食品に使われる食品添加物の認可が減らされ続けているのに対して、日本ではその数は増える一方で、海外では禁止されているトランス脂肪酸、合成着色料として使用されるタール系色素、ふわふわのパンを作るための臭素酸カリウムなどが使用可能である、という事実がある。これこそ海外先進国では、このような研究結果からの提言を政治や行政に反映させているという証左と言えないだろうか。

 

日本の食の安全を考える 日本の食品添加物区分や海外比較(2021年1月情報) | 公務員総研 (koumu.in)

 

翻って日本政府はこれについてどう考えているのだろうか。今回の研究に関連したものではないが、2019年5月9日付の産経新聞に以下のようなものがあった。これによると「超加工食品とがん」の関係は、2019年にも海外で発表されており、それについて産経新聞の記者が内閣府食品安全委員会の佐藤洋委員長(当時)に行ったインタビューとなっている。

 

超加工食品でがんリスク増大? 因果関係不明、栄養はバランスが大事 – 産経ニュース (sankei.com)

 

まずタイトルを見て驚いた。3年前の記事で対象も違うのに、現在リアルタイムで問題となっている新型コロナワクチン接種後の死亡者についての厚生労働省の結論とまったく同じではないか。当時も日本におけるがん患者数は右肩上がりだったなか、その原因かもしれないものがせっかく海外の論文で示されたのに「超加工食品についての論文はほとんどが海外のものです。食品の摂取状況は国によって違うので、そのまま参考にはできません。」と答えている。「なぜがんが増えているのか日本独自に研究を始めよう」とならないのだろうか。2021年からの超過死亡激増について、立ち止まることも、調べることもしない姿勢とまったく同じである。

 

当時はこの記事に気づかなかった筆者だが、今改めて見ると、日本政府は国民の健康を守ることについては、世界でも最低レベルなのではないかと落胆させられる。ちなみに産経新聞は過去記事が削除しないために検索されただけで、当時はほかの新聞でも取り上げられていた可能性があることを指摘しておきたい。

 

最後に、がんとは関係ないが、再度CNNからの引用で興味深い記述があった。特にダイエットに興味がある方には参考にしていただきたい。

 

「2019年に国立衛生研究所(NIH)が行った加工食品と加工されていない食品による食事を比較した臨床試験では、加工食品摂取群は、非摂取群と比較して、食べるスピードが速く、1日に500キロカロリー多く摂取していることが分かっている。平均すると、加工食品摂取群は0.9キロ体重が増えた一方で、非摂取群は同じだけ体重が減った。ここから、超加工食品には人間に必ずしも食べたいわけではないのに知らず知らずのうちにより多く食べさせてしまう「何か」が含まれていることが明らかだとしている。その「何か」の正体を判明させるにはもう少し時間がかかりそうだが、少なくともそれまでは超加工食品の摂取はできるだけ抑えるに越したことはない。」

 

コンビニ食ばかりで生きている現代人は意外に多い。あなたの周りにもいないだろうか。参政党の街頭演説で語られる内容は、決して小難しい政治の話ではない。あなたの身近な生活と人生そのものに語りかけるものだ。そして海外で起こっているのに日本のメディアで取り上げられないことも伝えている。スーパーやコンビニ、ファーストフード店で売られている超加工食品に手を伸ばす前に、思い出して欲しい。YouTubeで配信された参政党の主張を。食と健康を守ることが国護りの第一歩なのだということを。

BACK