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他国のフリ見て我が国なおせ!
〜痛い目を見るまで待つ必要はない〜

2020/10/29 伊達 善信

 

2020年6月17日の欧州議会でBLM関連問題の審議中多数意見に異議を述べ立てて目立っていたフランソワ=ザビエル・ベルミー議員であったが、フランスのヘイト専門新聞シャルリ・エブドに関連した事件について、「明らかに彼ら(犯人)は未成年ではない、それは誰でも知っている」と指摘した。ベルミー議員の主張は尤もで、確かにフランスにやって来る移民のうち、東から来るものは身元不明の者も多く、中にはビザ取得の目的で明らかに年齢詐称をしている者もいる。彼は「現政府はこの問題に関して重大な過失を犯している」と息巻くが、前述の議会での彼の言葉を言葉を借りるなら、「Mais que nous est-il arrivé?(しかし我々はどうかしてしまったのだろうか?)」といったところであろう。

というのもフランスといえば、つい近年まで侵略者の王者たる地位を確固たるものとしていた国ではなかったか。2世紀程前から崩壊してきたフランス人の道徳心が愈々限界に達しているからこそ、外来民族の強い社会基準に負けるようになったのであろう。しかし、ベルミー議員の正論をフランス人の発言だからといって嘲笑している場合ではない。我々日本人も守るべきものを失った民族の惨めさを直視して、他山の石を以って左派を攻くべきではなかろうか。

さて、BLMの本拠地アメリカは大統領選を目前に控え熾烈な政局争いの真只中である。前回の大統領選からの傾向であるが、肥大化し過ぎた企業が、これまた合衆国憲法の規定からすれば肥大化し過ぎた政府を支持して利権を貪ろうとしている構造となっている。前回と大きく異なるのはIT系企業によるあからさまな選挙介入だ。

念のため、通称セクショントゥーサーティーと呼ばれる通信法第230節について解説しておこう。第230節は、政治的言論の多様性や文化の発展を担保することなどを目的として、電気通信事業者などが情報を提供するとき、情報の発信源としての責任を問われないこととするものである。すなわち、内容が合衆国憲法修正第1条によって保護されているかどうかにかかわらず、猥褻、変態、不潔、暴力的、嫌がらせなどの理由で訴追を受けることがない免責特権が電気通信事業者には認められている。しかし、判例に照らして見てみると企業が電気通信事業者とみなされるか、情報の発信源とみなされるかは、およそ他人の情報を中継しているだけなのか、企業自身が自発的に発信している情報なのかという論争になるようである。

改めてここでホワイトハウスの9月23日の発表を見てみると「SNSの運営者が、保守的な言論を不当に削除する一方で、アメリカに対する差別的な発言に対しては何ら対応しないことを問題として」いることがわかる。この傾向は10月に入っても改善されず、バイデン候補の息子の汚職がニューヨーク・ポスト紙によって暴露された際には、その情報の拡散をフェイスブック社(FB)やツイッター社(TWTR)が規制する事態となった。極め付きはケイリー・マケナニー報道官のツイッターアカウントを凍結してしまった事だろう。上院はこれを受けて公聴会の開催を予定しているが、保守層からはこの対応は「too little too late(不充分だし遅すぎる)」と評されている。本件バイデン候補の息子の汚職は中国が絡む米中冷戦問題でもあるので、日本人としても注目しておく必要がある。

米中冷戦下の荒波に揉まれるのは日本だけではない。ここ最近の韓国の政策で注目すべきものがある。韓国政府の発表に拠れば、韓国とアラブ首長国連邦(UAE)が水素都市などの再生可能エネルギー分野での協力の範囲を拡大し、武漢肺炎対応のための交流も強化することにしたという。水素というのは水を電気分解すれば得られるのであるが、要するに将来的に産油国たるUAEから原油を買い付けるのではなく水素を買い付けるということに繋がるであろう。UAEは今夏アメリカの方針に従いイスラエルとの国交を樹立したばかりだ。惚れ惚れするほど狡猾ではないか。対中戦略としても韓国にとって素晴らしい効果を発揮するだろう。そもそも水素は質量あたりのエネルギー密度がガソリンの3倍程度と言われている。しかも、水素を燃焼させても少なくとも韓国側では二酸化炭素も煤煙も出ないのである。形式上は環境政策をやっておかないと世界中の左派の攻撃に遭う現代にあって、左派の近視眼的性質を見事に突いた上手さは日本も見倣うべきであろう。韓国側は加えてUAEのインフラプロジェクトに韓国企業がより多くの参加の機会を持つことができるようにUAE側の協力を要請したというから余念がない。

韓国を褒め称えるばかりではお叱りの声が上がりそうであるから、ここで東亜日報が報じた李秀赫(イ・スヒョク)駐米韓国大使の10月12日の発言をご紹介する。大使曰く、(米国を)「愛してもいないのに70年前に同盟を結んだからといって、それ(韓米同盟)を守らなければならないということは、米国に対する侮辱だ」そうだ。意味が解かりそうで解からない独特の表現は、大変に質の高い冗談ではないだろうか。日本のテレビもこのようなユーモアに富んだ発言は見逃さずに紹介した方が低迷する視聴率改善に繋がるのではないかと思うが、余計なお世話であろうか。いずれにせよ、米中の板挟みになっている韓国がその立場を逆手にとって有利な外交を繰り広げようとしている事は間違いないだろう。

我が国は今、決断の時を迎えている。病毒を撒き散らす人権侵害国家の秩序に従うのか、政府や大企業などの権力を排し人々の生活を守るのか。今更問われるまでもないと思うのは拙速だ。ル・ポワン誌が指摘する通り、日本の実子誘拐スキャンダルによって日本は拉致国家として世界に名前が通るようになりつつある。同誌の指摘で最も重要な部分は「もし母親が再婚すれば、新しい夫は子供を養子にすることができる」である。俗に言う親子丼を批判するニュアンスに気付ける感性を持ちたい。小児性愛者は女児を持つシングルマザーを狙っては、子供を襲う。養父や実母に殺害される子供の話はしばしば報道されるが、その裏には殺されはしなくても筆舌に尽くし難い性暴力に泣く子供達がいるのだ。3月24日の参院法務委員会で「死にゃあしない」と言い放った議員が居たが、子供は死ななければ良いというものではないのではないか。人民の臓器を抉り取って、一応死んではいない状態で帰宅させる国もあるようであるが、民主主義国家である我が国をそのような国にするかどうかは、国民の手にかかっている。

日本と欧州連合は「戦略的パートナーとしての長期的で深い協力の基礎となる共通の価値及び原則、特に、民主主義、法の支配、人権及び基本的自由についての約束を再確認し」て平成30年に日EU戦略的パートナーシップ協定(SPA)を締結した。この協定の第1条からして日本が違反している事態にEU諸国からは困惑の声が上がっており、早くも協定の破棄が議論されている。耐え難き恥辱ではあるが、欧州連合のSPA破棄程度で国民が紅の悪夢から目醒めるのであれば安いものではないか。

 


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