この二年間で大きく世界の情勢が変わっている。
「ソ連崩壊→アメリカの単極化、一極化→アメリカと中国の二極化」と言われてきたが、ロシアも力を付けてきて、多極化の世界が繰り広げられている。ウクライナ侵攻以降、完全にロシアを敵にしてしまい、中国がかなり優位な状況でロシアとくっついている。
アメリカをリーダーとする西側と、中国をリーダーとする中ロと第三国という状況でのチーム戦になりつつある。
経済だけを見ると、中ロ側が好調で取引額も世界的には増えている。
今回の防衛費の増額、ミサイルの配備は、チーム戦になっている国際情勢に乗り遅れてしまっているのではないか。
今の世界の見取図として、アメリカ一極、米中二極、多極構造という三つの見方ができる。
アメリカ・中国は、傑出して軍事費が多いので、軍事的なパワーバランスで見たときのアメリカ一極、あるいは米中の二極というのもある程度妥当。
中国は、グローバルサウスに対して、あたかも今回の戦争における勝者になるような世論戦を展開し、一定程度効果を収めている。
今回の広島Ｇ７サミットは、大きな国際的な潮流の流れを変えるものだったと思うし、日本がもたらした貢献というのは非常に大きい。
今回の防衛戦略は、時流に合わないものではなく、これからの変化を見越した非常に効果的なものであるという御判断という理解でよいか。
圧倒的にアメリカの軍事力がまだ強いこと、日本がアメリカとの同盟を基軸に防衛戦略を考えることは適切だろう。一方で、日本が防衛力を強化する必要がある。
外交と防衛力の組合せが国家安保戦略の中核だと思う。
世界の変化の中での日本の防衛体制の構築の仕方について、どういったお考えをお持ちか。
西側の価値観だけでは語れない世界がかなりある。
Ｇ７サミットがスタートした４０年前は、７か国で世界のＧＤＰの６割を占めていたが、今４割に下がっているわけで、経済力が下がるということは政治的な影響力も同時に下がる。
日本がやるべきことは、軍隊を持たないという立場を十分に活用した上で、専守防衛であって、攻められたら戦うけれども、それ以外は戦わない国ですという立場を明快により出していくことが必要。
日本の立ち位置がアメリカの手下みたいに見えるようでは、尊敬を集めることはできない。
中国と対等に話ができる国であるはず。軍事力というのは専守防衛のために使う国なのだと十分にアピールすることが求められている。
防衛費を増強して国を守るということに賛同しているが、要は予算を何に使うか。
武器を買う予算を削ったとしたらどう使うべきか、お答えください。
日本を守るために必要なものは削るわけにはいきませんので、防衛費を削りましょうという考え方は取りにくい。
ありがとうございました。
