拠出国債を活用したウクライナ支援について事実関係を確認したい。
アメリカの機関投資家や政治活動家がゼレンスキー大統領を担いでＮＡＴＯの東進を進め、ロシアの怒りを買って始まったロシアのウクライナ侵攻。
アメリカの軍事産業や石油産業は莫大な利益を得たが、ＥＵの国々はエネルギー不足や物価高騰などのとんでもない損害を受けて、もうこれ以上アメリカの戦争には付き合えないと悲鳴を上げている。
オーストリアでは、ウクライナへの支援について、３分の１ほどの国会議員が中立でいたいということで議会から退席してしまう状態で、ハンガリーやブルガリアでも同じような姿勢になっている。
ウクライナ：４，０００億ドル（約５０兆円）の損害
長期的復興支援ではなく、戦争継続に短期的に４００億ドル必要
アメリカ：２３０億ドル支援済み
ＥＵ：２５０億ドル支援済み
日本はアメリカに頼まれて、５０億ドル（約７，０００億円）を世界銀行の基金に拠出国債という形で信用補完をしたいという流れで間違いないか。
ＩＭＦは、ウクライナの２０２３年短期の財政支援ニーズ（公務員の給料、年金等運営費用）は、約４００億ドルと試算をしている。
ＥＵ：約１８０億ユーロ
アメリカ：約１００億ドル
の財政支援を表明。
この財政支援ニーズの残る部分について、日本はＧ７議長国としていかなる貢献をしていくべきか、世銀と調整をした結果
無償資金：約５億ドル
拠出国債を用いた世銀に対する信用補完：５０億ドル
計５５億ドルの財政支援を世銀経由でやろうということ。
イギリスやカナダなども当然この追加財政支援、表明している。
アメリカに頼まれたので日本だけが支援を表明しているという状況ではなく、Ｇ７一致連携をしながらウクライナの支援に当たっている。
つまり、戦争が継続となれば、また来年も再来年もそういったお願いがあるかもしれない状況であると理解した。
日本しか支援に名のりを上げなかった場合でも実行するのか。
各国自らの国内法に照らしながらどういう支援をするか考えている中で、今の時点で、私どもが貢献を考えている基金につき、具体的に貢献しますと表明した国はない。
日本としては、この法律が通れば、５０億ドルの拠出をやっていきたい。
今後、ウクライナ全土がロシアに併合される事態となり、返済主体国家自体が消滅した場合、拠出した分のリスクは日本がかぶらなければいけないという理解でよいか。
ウクライナがロシアの侵略によって併合されて国がなくなるという事態が起こらないように支援をしているので、Ｇ７を始め国際社会とも連携して、支援をしていきたい。
停戦をしてもらうというのが一番よいのではないか。
中国の習近平国家主席は、プーチン大統領と会談し、既に具体的な停戦の提案をしており、停戦を望むＥＵの政治家らも中国に期待を寄せている。また、中国は、同時にロシアやＢＲＩＣＳの国々を巻き込んで新しい通貨の発行を模索しており、ロシアもそこに賛同している。
世界の構図は
Ｇ７などの西側諸国 vs ロシア、中国などの旧東側諸国
と第三世界といった情勢にある中、同盟国アメリカを最優先に外交していくべきだが、今後中国がＥＵの支持などを受け、中国主導で停戦が成立した場合、日本の立ち位置は非常にまずい。
ウクライナに支援をする一方で、ロシアにもまとまった額の支援行為などの提案をすると同時に、停戦の提案（仲立ち）といったものを投げかけることはできないのか。
ロシアの侵略は、主権、領土一体性の侵害であり、国連憲章を始めとする国際法の諸原則違反であるとともに、法の支配に基づく国際秩序に対する明白な挑戦。
ウクライナの将来を決める交渉にいかに臨むべきかについては、ウクライナの人々が決めるべき問題だと考えている。
対ロ制裁、ウクライナ支援を強力に推進していく方針である旨、ゼレンスキー大統領にも直接伝えた。
アメリカ一強支配は、軍事面・経済面でかなり崩されているので、そこを視野に入れた立ち回りや諸外国への支援をしっかりとやってほしい。
次に、国際協力銀行（ＪＢＩＣ）について。
衆議院の質疑で、サプライチェーンの国内回帰は重要だが、原材料の調達が困難なので、ＪＢＩＣの支援でそれをサポートしたいと答えていた。
戦後の日本は、加工貿易で復興してきたが、日本の商社の方々が世界中にネットワークを張り巡らせ、世界中から原材料を調達してきていたという功績があった。そこに政府の支援はそれほど大きくなく、日本商社の地力が世界各国に群を抜いていたが、ここに来て政府が資金面で直接外国企業を支援するということは、日本企業の資金力や海外でのプレゼンスが下がってきたということか。なぜこのタイミングで政府が支援を始めるのか。
デジタル化や気候変動やコロナのパンデミック、ロシアのウクライナ侵略の中で、日本企業も含めて世界的にサプライチェーンの再構築、強靱化を図る動きが広がっており、できるだけ国内回帰をしていくという観点も重要だが、レアメタルのようなものはどうしても海外からの調達に頼らざるを得ず、原材料から部材まで、上流から下流まで全てサプライチェーンの全体を見たときに、全てを自給自足的にやるというのはなかなか難しい。
時代に合わせたものにしていくというのが法改正の趣旨。
日本企業のバックアップをしっかりとお願いしたい。
法改正後、ＪＢＩＣが外国企業に融資ができるようになった場合は、市場金利よりも有利な条件で外国企業に融資ができるのか。もし市場金利と同じ条件ということであれば、なぜ外国企業はわざわざＪＢＩＣから融資を受けるのか。
株式会社国際協力銀行法では、銀行等取引の通常の条件や金融市場の動向を勘案することになっている。
外国企業がＪＢＩＣから借入れを希望する理由は、日本企業と強固なネットワークを有するＪＢＩＣから融資を受けることで、同一サプライチェーンに連なる日本企業との取引関係の維持強化が期待される、あるいは事業実施国政府との連携や調整においてＪＢＩＣの公的ステータスや海外ネットワークを活用した側面支援が期待されるといった点が挙げられる。
今般の法改正により実施可能となる外国企業向け融資が日本企業のサプライチェーン強靱化に明確に裨益するよう適切に対応したい。
ウクライナ支援は、日本が国際社会に対してすごく貢献しているということをアピールできるような形で融資を進めていただきたい。
